子どものころから本を読むことが好きで、小学生の頃は洋の東西を問わずファンタジー文学に夢中だった。
先週初めて、遠近両用メガネというものを買うことになった。ド近眼の私は、コンタクトかメガネをしていないと生活できない。外に出るときはコンタクト、家ではメガネを使用していたのだが、最近メガネだとテレビの字幕などが見えにくくなってきたのだ。
アイルランドに住むようになって何年も、ついおじぎをしてしまう癖が抜けなかった。車が私に道を優先してくれようなときも、反射的にぺこりと頭を下げて感謝の意思を伝えていた。
2023.05.18
アイルランドで暮らす
To dye or not to dye 白髪の話
きのう、テレビでアイルランドの朝の生活情報番組を何となく観ていると、白髪を染めるかどうかで悩んでいる42歳の女性の話が取り上げられていた。
視聴者からのお悩み相談である。もうかなり白髪が目立つので染めたいのだが、今さら染めるといかにも白髪を隠しているのがわかってしまうから躊躇している、という内容だった。
私はちょっと驚いた。周囲がどう思おうが自分が染めたければいつからでもどんな色にでもすればいいのに。相談に応じる番組司会者やゲストたちも口をそろえて Go for it!(思い悩まずにとりあえずやってみなさい)と励ましていた。
しかしいったん白髪を染めたが最後、ずっと染め続けなければならないという問題はある。
アメリカのある調査によると、白人の方がアジア人や黒人より早く白髪になる傾向があるそうだ。白髪になる平均年齢は、白人は30代半ば、アジア人は30代後半、そして黒人(アフリカ系アメリカ人)は40代半ばだというデータもある。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22716034/
https://jcadonline.com/hair-aging-races-ethnicities-review/
私の白髪が目立ってきたのは30代後半だった。39歳のころ白髪染めに踏み切り、以来2ヵ月に一度ほど市販の髪染め剤を使って家で染めている。美容院でカラーリングをしてもらうのは年に一度ほどだ。
(写真)
どこのスーパーでも売っている10ユーロくらいのカラー剤を使用している。 仲のいい同年代のスペイン人の友人は、白髪を染め始めた30代後半に、「60歳になったら染めるのをやめる」と言っていた。60歳とは英語教師をしている彼女がちょうど退職するころだ。私はその言葉に感化され、還暦を迎えたら、あるいは定年退職したら、白髪を染めるのはやめようと考えた。
だが新型コロナのもとで在宅勤務が続いたとき、髪を染めないまま数カ月が経ち、このまま職場に戻っても白髪のままでいこうかという考えがよぎった。同じように考えた人は多かっただろう。週に一度のチームミーティングをリモートで行っているとき、黒髪だった同僚(白人のアイルランド人)の髪がかなり白くなっているの気づいた。彼女は20代後半から白髪があり、40歳を過ぎる今まで染め続けていたが、長期の在宅勤務を機にもうやめることにした、ときっぱり。
年下の彼女に先を越されてしまった。そして彼女が「染めないのは楽なんだけど、白髪のパサつきを抑えるためにコンディショナーを変えたりしたし、けっこうケアは必要なんだよね」と言うのを聞き、うーん、私はもう少しこのままでいくか、と思い直したのだった。
ともあれコロナがもたらしたトレンドが定着し、染めた髪からどうやって自然な白髪にしていくか how to go gray from coloured hair、白髪をそのまま伸ばしていくには how to grow out gray hair、といったことがよく話題には上っている。テレビでも周囲でも、自然な白髪を粋にスタイリングしている女性が増えたな、と感じる。
ちなみに私の髪を染めるのは夫の仕事だ。最初に「自分ではできないからやってー」と軽く頼んで以来十数年、文句ひとつ言わずにやってくれている。何かの都合で夫がもうやらなくなったときが、私が白髪染めから卒業するときかもしれない。
アイルランドで暮らす
2024.04.22
ダブリンの美術館カフェめぐり
やっと少し暖かくなって、ダブリンではいよいよ観光客の姿が目立つようになった。レストランの前で逡巡している「ランチ難民」が狭い歩行者通路をふさいで、ちょっと迷惑に感じることもある。
でも悩む気持ちはわかる。観光ついでに気軽に立ち寄れるカフェやレストランはなかなか見つからない。アイルランドは近年物価の高騰がひどく、コーヒーが一杯4ユーロを超えても驚かなくなってしまった。10年くらい前までその値段でギネスビールが一杯飲めたのに。
せっかくアイルランドに来てアメリカやイギリスのチェーンのカフェに入るのも芸がない。私がおすすめしたいのは美術館に入っているカフェだ。お昼時はさすがに混むが、少しずらせば落ち着いて居座れるし、値段も良心的だと思う。
ここで紹介するのは、基本的に入場料は無料で、トイレなどの施設も整っているダブリンの4つの美術館・博物館です。
チェスター・ビーティー博物館 Chester Beatty IMMA(アイルランド現代美術館)Irish Museum of Modern Art ヒュー・レイン・ギャラリー(ダブリン市立美術館)Hugh Lane Gallery ナショナル・ギャラリー(アイルランド国立美術館)National Gallery of Ireland (写真)
ダブリン城の敷地内にあるチェスター・ビーティー博物館は、アメリカ人の大富豪ビーティー卿が世界中から集めた書物を中心に展示している。吹き抜けのロビーが気持ちいい。人気のカフェレストラン Silk Road café では中東や地中海の料理が食べられる。 セルフサービス形式で、まずはメインの料理を選び(ライスか野菜のサイドディッシュがついてくる)、それからサラダを数種類盛ってもらう。具だくさんのラザニアのようなムサカ(ラム肉入りとベジタリアンの2種類)などはおいしいけれど量が多すぎるので、半分の量ハーフポーション harf portion を頼むといい。 スイーツもたくさん。コーヒーケーキとココナッツケーキが私のお気に入り。 これからの季節は建物の外で食べるのもいい。コーヒーやスイーツだけなら外から注文もできる。 IMMA(アイルランド現代美術館)は、街中から徒歩で 20分ほどのギネス・ストアハウス Guinness Storehouse からさらに 20分ほど西に歩いたところにある。 入り口の門から一歩足を踏み入れるとかなり威圧的な空間に出る。もと王立病院だった建物を改築して1991年に近代美術館に生まれ変わった。 カフェは地下にある。暗いし目立った看板もないので一瞬どこに行くの?と不安になるが、そのまま下に降りて行けば大丈夫。 昼間はサンドイッチなどの軽食を出しているが、この日は3時過ぎだったのでスイーツのみ。 ダブリンの北側にあるヒュー・レイン・ギャラリーのカフェも入口の右手から階段を地下にある。トイレも同じ階にあるので便利。 明るくて落ち着ける店内。広くはないのでお昼時は混むこともある。 どの食事もスイーツもおいしい。ウォーホル展に行ったときに食べたのは洋梨とアーモンドタルトだったかな。 ナショナル・ギャラリーの Clare Street 側の入口。トリニティ大学の近くになる。メインの入口は メリオン・スクエア Merrion Square という公園の向かいにあり、同じ通りにアイルランド国立博物館のひとつ、Natural History Museum 自然史博物館もある。 アイルランドの誇る劇作家の一人、バーナード・ショー Bernard Shaw(1856‐1950)の等身大の銅像の右手にカフェ、左手にはギフトショップがある。ショーは少年時代、毎日のようにこのギャラリーに通ったという。 キッシュやラップサンドが並んだショーケース。スープやメインの食事も頼める。 こうした美術館のカフェは、地元の人たちもかなり利用する。待ち合わせや展覧会の前後の休憩にちょうどいいからだ。知り合いとの遭遇率も高くて、ますます居心地のよくなるスポットです。