ダブリンの街中に続き、今度は海岸で化石探しをするツアーに参加した。これは一人15ユーロの参加費がかかった。

去年はホウス Howth でハイキングを楽しんだが、今年の夏はまだあまり遠出をしていない。こんな機会でもないと海岸を歩くことなどないだろう。かくて日曜の朝、家からバスを乗り継いでポートマーノック Portmarnock という場所に到着した。

出典: https://www.geoschol.com/index.html ダブリンの地質図。薄い水色の地域は石炭紀前半の石灰岩。

マーテロ―塔 Martello Tower の前でほかの参加者と合流。マーテロ―塔とはナポレオン戦争の時代に大英帝国が各地に築いた小さな防御砦のことで、アイルランドには 50ほどある。Portmarnock にあるこちらの塔は 1805年ごろに建設、1970年代に建て増しされ、現在は住居になっている。

初めに化石の見本を回し見する。私でも知っている三葉虫 trilobite(写真右)もあってちょっと興奮。ただしアイルランドでは三葉虫の化石はほとんど見られないそうだ。

今回の案内役は地質学者 geologist の 2人。Nature Tales &Trails というウェブサイトを中心に、こうしたツアーやハイキングを実施しているそうだ。この日は早朝に雨が降って岩肌はすべりやすくなっていたが、暑くも寒くもなく、日差しも弱いので海岸歩きにはもってこいの日和だ。

この辺りの海岸の岩の層は石炭紀(Carboniferous period、3億5920万年前から2億9900万年前)に形づくられた。そのころアイルランドは熱帯で、暖かく浅い海に覆われていた。なかなか想像しづらいが、今のバハマやオーストラリアのグレートバリアリーフのようなサンゴ礁だったのだ。

海岸を移動しながら岩をのぞきこみ化石を探す。それほど熱心に探さなくても、はるか昔に生息していたものたちの印がいたるところに見られるのが面白い。

砂浜もあり、20度にいかない気温の中で海水浴をしている人もいたが、我々の興味は石灰岩。

アイルランドが熱帯だったことを説明する看板。

大小のこうしたサンゴの化石があちこちに。サンゴは石灰質の骨格をつくり、それが長い時間をかけて積み重なり海面近くまで高くなったのが「サンゴ礁」。サンゴは腕足類などのほかの生物に避難場所を提供した。

丸いのは腹足類 gastropod の化石。アイスクリームのコーンを横に割って見た感じ。

海藻や貝も。

ダブリンの街歩きツアーでいっしょだった一人がこのツアーにも参加していた。犬を連れた家族連れも参加していた。犬も海岸をじっくり散歩できて喜んでいたかも。

気がつけばあっという間に1時間半が経っていた。まだまだ続けられそうだったが、おなかもすいてきたしということで、解散後、数百メートル歩いたところにあるレストランで昼食を取ることにした。

Gourmet Food Parlour の Malahide 店。マラハイドのサッカーチームの拠点の建物に入っている。海の見える開放的な店内は地元の人たちでいっぱい。ここから30分も歩けばマラハイドの町に着く。

サンドイッチセット(小さいスープも追加で)とチキン。あわせて24.5ユーロ(約4000円)。チョリソーの入った本日のサンドイッチがおいしかった。

おなかもふくれて、半分眠りながらバスに揺られてダブリンのシティセンターへ戻ってきた。家に帰るバスに乗り換える途中、ニューヨークとダブリンをつなぐ The Portal の前を通りかかった。相変わらずの人気。ジェームス・ジョイスも人間観察には事欠かないだろう。

サンゴの化石と貝が今日のお土産。