やっと少し暖かくなって、ダブリンではいよいよ観光客の姿が目立つようになった。レストランの前で逡巡している「ランチ難民」が狭い歩行者通路をふさいで、ちょっと迷惑に感じることもある。

でも悩む気持ちはわかる。観光ついでに気軽に立ち寄れるカフェやレストランはなかなか見つからない。アイルランドは近年物価の高騰がひどく、コーヒーが一杯4ユーロを超えても驚かなくなってしまった。10年くらい前までその値段でギネスビールが一杯飲めたのに。

せっかくアイルランドに来てアメリカやイギリスのチェーンのカフェに入るのも芸がない。私がおすすめしたいのは美術館に入っているカフェだ。お昼時はさすがに混むが、少しずらせば落ち着いて居座れるし、値段も良心的だと思う。

ここで紹介するのは、基本的に入場料は無料で、トイレなどの施設も整っているダブリンの4つの美術館・博物館です。

  • チェスター・ビーティー博物館 Chester Beatty
  • IMMA(アイルランド現代美術館)Irish Museum of Modern Art
  • ヒュー・レイン・ギャラリー(ダブリン市立美術館)Hugh Lane Gallery
  • ナショナル・ギャラリー(アイルランド国立美術館)National Gallery of Ireland

ダブリン城の敷地内にあるチェスター・ビーティー博物館は、アメリカ人の大富豪ビーティー卿が世界中から集めた書物を中心に展示している。吹き抜けのロビーが気持ちいい。人気のカフェレストラン Silk Road café では中東や地中海の料理が食べられる。

セルフサービス形式で、まずはメインの料理を選び(ライスか野菜のサイドディッシュがついてくる)、それからサラダを数種類盛ってもらう。具だくさんのラザニアのようなムサカ(ラム肉入りとベジタリアンの2種類)などはおいしいけれど量が多すぎるので、ハーフポーション harf portion(半分の量)を頼むといい。

スイーツもたくさん。コーヒーケーキとココナッツケーキが私のお気に入り。

これからの季節は建物の外で食べるのもいい。コーヒーやスイーツだけなら外から注文もできる。

IMMA(アイルランド現代美術館)は、街中から徒歩で 20分ほどのギネス・ストアハウス Guinness Storehouse からさらに 20分ほど西に歩いたところにある。

入り口の門から一歩足を踏み入れるとかなり威圧的な空間に出る。もと王立病院だった建物を改築して1991年に近代美術館に生まれ変わった。

カフェは地下にある。暗いし目立った看板もないので一瞬どこに行くの?と不安になるが、そのまま下に降りて行けば大丈夫。

昼間はサンドイッチなどの軽食を出しているが、この日は3時過ぎだったのでスイーツのみ。

ダブリンの北側にあるヒュー・レイン・ギャラリーのカフェも地下にある。トイレも同じ階にあるので便利。

明るくて落ち着ける店内。広くはないのでお昼時は混むこともある。

どの食事もスイーツもおいしい。ウォーホル展に行ったときに食べたのは洋梨とアーモンドタルトだったかな。

ナショナル・ギャラリーの Clare Street 側の入口。トリニティ大学の近くになる。メインの入口は メリオン・スクエア Merrion Square という公園の向かいにあり、同じ通りにアイルランド国立博物館のひとつ、Natural History Museum 自然史博物館もある。

アイルランドの誇る劇作家の一人、バーナード・ショー Bernard Shaw(1856‐1950)の等身大の銅像の右手にカフェ、左手にはギフトショップがある。ショーは少年時代、毎日のようにこのギャラリーに通ったという。

キッシュやラップサンドが並んだショーケース。スープやメインの食事も頼める。

こうした美術館のカフェは、地元の人たちもかなり利用する。待ち合わせや展覧会の前後の休憩にちょうどいいからだ。知り合いとの遭遇率も高くて、ますます居心地のよくなるスポットです。