先週、違う部署の人にメールである問い合わせをしたところ、「I am WFT today」と返事が来た。

WFT って何?

アルファベットの順番を変えて WTF にすると、「What the f**k」になる。驚きや不快感を表すスラングで、英語で最も卑俗な侮辱言葉のひとつとされる Fワードが入っているので私は使わないし、ここでもとても書けない。

アイルランドでは侮辱言葉の使用に対する意識がかなり鷹揚で、「しまった!」「うわっ」のような日常的な感情表現として F言葉を口にする人が多い。でもさすがにオフィスで仕事中には使わない(少なくとも周りに人がいるところでは)。

では、このメールにある WFH の F は何でしょう。

はい、正解は from フロム、WFH は「Working From Home」の頭文字でした。今日はリモートワーク、家で働いているということで、昨今当たり前に使われるこの表現がぱっと理解できないあたり、私はまだまだ英語の頭にはなっていない。

日常的に接していない日本語もかなり錆びついている。日本語のポッドキャスト(インターネットで配信されるラジオ番組)やウェブサイトの記事などで初めての言葉と出会うことはよくある。何度か見聞きしていく中で、「いろいろな人が使っているということは、もう定着している日本語なんだろうな」と推察する。

英語から来た新しいカタカナ語、特に日本語独自に短縮されたりする言葉は面白い。

  • コンプラ:コンプライアンスは英語では略さずそのまま compliance。
  • カスハラ:カスタマーハラスメント。セクハラ、パワハラときて今度はカスハラ。聞いてもすぐにはわからなかった。英語ではそのまま customer harassment で、ハラスメントを短縮することはない。
  • ノイキャン:ノイズキャンセリングですね。英語では noise cancelling、短縮はしない。
  • アプデ:アップデートも短縮しちゃうの?英語では update そのまま。
  • ポリコレ:意味がわかるまで数秒を要した。ファッションショーの「パリコレ」とは違うとはわかったけれど。英語ではアルファベットの頭文字を取って PC(Political correctness)と短縮。
  • メリデメ:英語の merit と demerit が日本語のメリット・デメリットとニュアンスが違うことは有名。日本語の「メリット(利点、よい点)・デメリット(欠点、悪い点)」の意味で使われる英語は pros and cons や advantage and disadvantage。

こうして言葉が略されるのは、その言葉の認知度、使用度が上がっているからだろう。短くなれば書きやすいし言いやすい。単独ではピンとこなくても、ヘッドホンが買いたくて情報収集していれば「ノイキャン機能」は必須の言葉、意味がわかればその分野にちょっと長けたような気分になる。でも、もともとの言葉があまり浸透していない状態で短縮されると意味が通じにくい。

こんなことをつらつら考えていたら、夫が「最近ツイッターとかでよく見る SMH の意味がわかんなくて、I googled it. ググっちゃったよ」と言った。

意味は「shaking my head」。がっかりしたり呆れたりして首を振る様子だ。やれやれ、何でも短縮するのは英語も同じか。