運河クルーズでめぐるコペンハーゲン
ダブリンの緯度は53度で、東京(35~36度)や北海道(43度)よりだいぶ高い位置にある。さらに2度ほど緯度の高いコペンハーゲンに行ってきた。
ダブリンは7月に入ってぐずついた天気が続いていたが、デンマークの首都コペンハーゲンはさわやかな陽気。気温も20度ちょっとでダブリンより少し暖かく、快適だった。空港から市内までは8キロしか離れておらず、電車もバスも地下鉄も通っているという便のよさは、バスしか公共交通手段のないダブリン空港とは雲泥の差である。
地下鉄はコペンハーゲンに現在 4本路線があり、24時間運行している。日立と日立レール STS がデンマークの Metroselskabe 社と共同で地下鉄ネットワークの設計、製造を請け負ったそうだ。無人なので一両目の前列に座ると進行方向が目の前に広がり、自分が運転しているようでワクワク。
コペンハーゲン中心地に着いてまず目指したのは、「新しい港」として1673年にできたニューハウン Nyhavn という人工港だ。カラフルな建物を背景にボートが停泊する運河沿いの一帯はどこを見てもまるで絵ハガキ。ほかの観光客が一心不乱に写真を撮っているのに便乗してしまう。
ニューハウン Nyhavn の色とりどりの建物。『アンデルセン童話』でおなじみの作家、ハンス・クリスチャン・アンデルセン Hans Christian Andersen が住んだのはこの反対側の通りの建物のひとつ。でもこちら側の方が写真映えする。
ここから10分ほど歩いた桟橋から運河クルーズツアーに参加してみた。以降、クルーズボートから撮った写真と、実際に行ってみた観光地の写真を織り交ぜながら紹介します。
ボートは電動でエンジン音がとても静か。運河の水は穏やかでほとんど揺れず、快適だ。ガイドさんがデンマーク語と英語で運河沿いの建物や橋の説明をしてくれる。
黒い建物はデンマーク王立図書館。1906年に建てられた古い旧館につながる港側の新館は 1999年に完成。鋭い輪郭と、水を反射する黒い大理石のプレートとガラスの外観から「ブラック・ダイヤモンド」の通称で親しまれている。かっこいいです。
写真中央のドーム状の建物はフレデリクス教会 Frederiks Kirke。ふんだんに大理石を使っているため「Marmorkirken 大理石(マーブル)教会」という呼ばれることの方が多く、教会の目の前の地下鉄の駅の名もその愛称から取られたほど。
1894年完成のロマネスク・バロック様式のフレデリクス教会。
直径 31メートルの北欧一の大きさのドーム(半球型の天井)を誇る。展望台になっているドームの頂上部分に上がることができるそう。
運河クルーズでは橋をたくさん(確か 16本)くぐります。
アンデルセン童話の『人魚姫』をモチーフにしたブロンズ像が見えると、ボートから大きな歓声がわいた。中心地から歩くとちょっとあるし、有名なわりには小さくてがっかりする人も多いそうなので、ボートの上から遠目に後ろ姿を拝められただけでよし。
世界最小だという 3本マストの帆船は、現在は訓練用に使われている。
らせんの塔の建物は 1696年に建設されたルター派の救世主教会 Vor Frelsers Kirke。市内で最も古い建物のひとつで、50年後に増設された木造の尖塔には何と登ることができる。はい、行ってきました!
教会のすぐ近くには 1000人弱のヒッピーの住むクリスチャニア Christiania という地域がある。
尖塔の高さは約 90メートル。400段ある階段は途中から外に出て、尖塔の周りをぐるぐると上がっていく。
上に行くほど細くなり、すれ違う人に道を譲っているあいだに景色を眺めるのだけれど、こわい~。
ふう。塔から降りてから、救世主教会のドイツバロック様式の内部も見学できた。主祭壇の前にある 5人の大天使と 1人の智天使の彫刻が見事。
迫力のある装飾が施され、4000ものパイプのあるオルガンは 1698年に完成し、3世紀以上も火災や戦乱から逃れてきた。
オルガンが 2頭の象に支えられているのは、象が絶対君主制の象徴だから。デンマークの最高位の勲章はエレファント勲章で、デンマーク王室の王族及びスカンジナビア諸国の国家元首に授けられる。デンマークは 1849年に立憲君主国になったそうです。
物価の高いダブリンから来ても、コペンハーゲンはさらに割高だ。観光施設では軒並み2000円から3000円以上の入場料が取られる。そこで、80以上の観光施設と首都すべての公共交通機関で使える「コペンハーゲンカード」という便利なカードの出番。このカードは24時間分から買えるが、私たちは96時間分を979クローネ(約2万5百円)でそれぞれ購入し、アプリをスマートフォンにダウンロードして使用した。一日に数か所観光地をまわれば十分に元が取れる。
この運河クルーズもコペンハーゲンカードで乗船できたので、気軽に「乗ってみよう」ということに。コペンハーゲンの新旧の素晴らしい建築物を堪能しながら、運河があることが暮らしの一部になっている人々の生活を垣間見ることができた。天気がよければ特におすすめです。