ダブリンで盆踊り。「ダンシング・ヒーロー」を踊ったよ
この週末、何と私の家から歩いて数分のところにあるパブで、日本の夏祭り、そして日本人劇団による公演があった。
夏祭りの発起人は、ダブリンを拠点に活動している日本人劇団 Raku 楽 Theatre の代表者。会場の Cherrytree パブとタッグを組み、楽シアターの数人といっしょにこの初めてのイベントを企画、運営したそうだ。事前に小耳にはさんでいた情報の中で気になったのは、「『ダンシング・ヒーロー』で盆踊りをするよ」ということだった。
80年代半ばに大ヒットした荻野目洋子のこの曲は、私の世代なら知らない人はいないはず。でも盆踊り?しかも若い人たちを中心に広まっているというのを聞いて、ますます好奇心がわいた。
会場の Cherrytree Pub。ダブリン市街からバスで南西に約 30分、ウォーキンスタウン・ラウンドアバウト(無信号の大きな交差点)Walkinstown Roundabout にあると言えば、ダブリンに住んでいる人なら大抵知っている。
パブの 2階や外のスペースを使って、太鼓パフォーマンス、書道や折り紙の講習会、スイカ割りにヨーヨー釣りと、盛りだくさんの内容はまさに日本の夏祭り。
大人気のお寿司は一時間待ちのときもあったそう。
仕事を早退して会場に駆けつけると、すでに各催しものは片づけモードに入っており、あとは盆踊りのみとなっていた。しかしまだまだ人は多く、ダブリンにこんなに日本人っていたのね、と驚いた。日本人以外の家族連れや浴衣姿の若い人たちも目についた。太鼓の音を聞いて「何だろう」と顔を出した近所の人もたくさんいるようだ。
そして、待っていました盆踊り。栃木に住んでいた小学生時代、学校の校庭でみんなで輪になって何やら踊った記憶があるが、どうやらその踊りとは違う伝統的な盆踊りが始まった。
ダブリンで、しかも私の近所でこんなにも多くの人が日本の盆踊りに興じているなんて…。
「ダンシング・ヒーロー」が流れてきたので踊りに注目。左右に手拍子、手を回し、くるっと回って腰ふり、そして片手を上げて「ヘイヘイヘイヘイ!」と合いの手を入れることをくり返す。これだけなので、うずうずしてきた私も輪の中に入っていった。同じように見物していた人たちも「I’m getting the hang of it. だんだんわかってきたよ」と飛び入り参加。
何でも「ダンシング・ヒーロー」の盆踊りの発祥は名古屋で、東海地方では盆踊りの定番曲として30年以上踊られているという。元気で激しい曲なので日本の伝統音楽に慣れていない人も楽しめる。私も「夏祭り、参加したぞ」という実感が得られて嬉しかった。
そしてパブの2階にあるステージで、Raku 楽 Theatre の三人芝居「普通の人々」を観た。一時間あまりのオムニバスだ。すぐそこの舞台で生身の役者がいろいろな人生を紡ぎ出していくこの感覚は、芝居でしか味わえないもの。大学時代によく通った東京の小劇場、そのときの若かった自分や仲間のことを思い出したりして、うーん、いろいろなことを考えた。
次回公演は11月18日、19日。ダブリンの The Lir Academy という演劇学校の劇場で、ミュージカルに挑戦するそうです。