ボールペンは pen ではないのか
日本ではゴールデンウィークが終わって日常に戻ったところ。と、ここまで書いて、「ゴールデンウィーク」は文字にすると長いなど思った。そういえば「大型連休」と言うこともある。
4月末から5月初めにかけての連休を「ゴールデンウィーク(黄金週間)」というのは、戦後、連休中に大作を公開するようになった映画業界が宣伝も兼ねて作り出した用語だそうだ。1950年代から一般にも広く使われるようになったが、70年代の石油ショック以降、連休ムードの浮かれた表現に不快感を抱く人がいたり、週休2日制が定着して連休が長くなり「ウィーク(週間)」という表現が的確ではなくなってきたりしたため、NHKでは原則として「ゴールデンウィーク」ではなく「大型連休」という表現を使用しているという。
長すぎて表記の際に困るというのも理由のひとつだそう。まあ、GWと書けば文脈的にわかるけど。
この時期はダブリンでも藤の花(ウィステリア wisteria)があちこちに咲いている。先週末に近所を散歩していたら Mountain view という名のお宅に見事な藤があった。マウンテンビューとはウィックローの山並みが見えるということだと思う。
「ゴールデンウィーク(GW)」と「大型連休」という2つの言い方にちょっと触発されて、私がアイルランドに住むまで使ったことのなかった身の回りの物の英語名をちょっと集めてみた。基本的にイギリス英語を使うアイルランドだが、例外もある。
- ホッチキス=ステープラー stapler。ホッチキスの芯は staple。日本語のホッチキスはアメリカの E.H.ホッチキス社で作られた商品モデルに由来する言葉。
- 修正液=ティペックス Tipp-ex。これは修正液を作っているドイツの会社とその商品の名前。アメリカではコレクション・フルイド corecction fluid と呼ばれることも多いようだが、アイルランドではほぼティペックス。ほかのブランドの修正液は見たこともない。
- ボールペン=ペン penまたはバイロ biro。万年筆 fountain pen などと区別するときくらいしかボールポイントペン ballpoint pen とは言わない。昔ながらのボールペンをバイロと呼ぶ人も多い。これは、ボールペンを発明したハンガリーのジャーナリスト、ラズロ・ビロ Laszlo Biro の名前から来ている。今ではノック式やクリップ式のペンも総称してペンと呼ぶのが普通。
- 戸棚=キッチンにある食器棚や物を入れる扉のついた棚は、アイルランドではプレス press と呼ばれる。イギリス英語では cupboard(cup のPは発音しない)。アメリカ英語ではキャビネット cabinet。
- 絆創膏(ばんそうこう)=プラスター plaster。アメリカ英語では商品名でもあるバンドエイド band-aid。プラスターとは石膏セメントの意味もある。
- 掃除機=正式にはヴァキュームクリーナー vacuum cleaner だが、フーヴァー Hoover と呼ぶことの方が多い。これはパワフルな掃除機を売る Hoover 社の製品から来ている。
愛らしい顔つきの掃除機のヘンリー君は、イギリスの Numatic 社の大人気商品。Henry 人気にあやかって、ジェームスやヘティなどの別の名前と色の掃除機も誕生した。
私の職場で使われている業務用掃除機は、ヘンリー君たちよりちょっと地味。
そして最後に…。
- 傘=これはもちろん umbrella だけれども、アイルランドでは brolly(ブロリー)ということも多い。これはアンブレラのくだけた言い方。
5月に入って晴れの日が続いたと思ったら、今週は毎日雨模様。Brolly ブロリーが欠かせません。