12月に入ってアイルランドでは寒い日が続いた。12月12日には、2010年のクリスマス以来の最低気温であるマイナス3.2度を記録したそうだ。

それでもマイナス3.2度。よく日本で「アイルランドって寒いんでしょう」と聞かれるが、アイルランド島の西側を流れるメキシコ湾流の影響で、緯度のわりには年間を通じて穏やかな気候だ。

アイルランドは北海道よりも高緯度に位置し、首都ダブリンはウクライナの首都キーウやドイツのベルリンより高い位置にある。それでもアイルランドで氷点下になることは珍しく、雪が積もることは稀だ。

10日ほど前に雪が降り、朝8時でまだ薄暗い中を雪を踏みしめながらバス停に向かった。その後も気温がなかなか上がらなかったので、住宅地には雪や氷が何日も残っていた。

ダブリンではもちろん、街中にクリスマスツリーが飾られ、年末気分を盛り上げている。10月に日本に行ったときにはハロウィーンの飾りつけをしているところが多くて驚いたが、クリスマスの飾りつけやイルミネーションもきれいなんだろうな。ダブリンでは、義母とその妹が先日遊びに来たときに食事をしたシェルボーンホテルの飾りつけが際立っていた。

グラフトン通りのクリスマスのイルミネーション。先日訪れたクロアチアのザグレブと比べるとあまり洗練されていないのだけれど、その素朴さがアイルランドの持ち味でもある。

Nollaig Shona Duit はアイルランド語(ゲール語)で Happy Christmas、Merry Christmas の意味。

豊かな歴史をもつアイルランド屈指の高級ホテル、シェルボーンホテル Shelbourne Hotel の中のクリスマスツリー。ホテルは現在はアメリカのマリオット・インターナショナルの系列だ。

ロビーには、ジンジャークッキーでできたお菓子の家も。

シェルボーンホテルは各界の有名人、政治家などの常連がいることでも知られる。アイルランドを舞台にした『静かなる男 』(The Quiet Man: 1952)を撮ったアメリカの映画監督ジョン・フォードもその一人。彼の泊まったスイートルームのドアには彼の名前が刻まれている。

今ごろ日本では、忘年会などの集まりは復活しているのだろうか。私は最近ダブリンでとても落ち着ける居酒屋を発見して、かなり興奮している。レストランというものは、味、メニュー、立地、スタッフの対応、そしてそれらに見合った値段が大事だが、居心地のよさも同じくらい不可欠な要素だと私は思っていて、この達磨 daruma は個人的にはその要素を大きく満たしているのだ。

テンプルバーという界隈の一角、小さなレストランが並ぶ通りにある達磨。今年の10月に開店したばかり。いつも行く日系美容室がすぐ近くにあり、そこの美容師さんが勧めてくれた。

寿司、焼き鳥やホタテなどの焼き物、冷奴やサラダなど、品皿は多くないがバラエティに富んだ居酒屋メニュー。鶏のから揚げ(7.45ユーロ)は絶品。

ランチは金・土・日のみ。鶏肉の南蛮揚げ(写真奥)、サーモンといくらの載ったチャーハン(写真手前)などが漬け物、味噌汁といっしょに15ユーロほどで食べられる。

観光客であふれるテンプルバーだがその外れにあるので、客層はダブリンに住む人がほとんどだと思う。内装は特に日本情緒を出そうとしているわけではなく、テーブルとカウンターの深い木の色が目に落ち着く。一人でもふらっと立ち寄って一杯やりながら軽く食べることができそう。そういうお店、ダブリンにはなかなかない。

まだ試したいメニューもあるし、年が明けたらここで少人数で新年会をするつもりだ。