先日テレビをつけると、ちょうど映画『デイ・アフター・トゥモロー』(The Day After Tomorrow: 2004)の放映が始まったところだった。公開当時ダブリンの映画館でも観たが、ついつい引き込まれて最後まで観てしまった。

このアメリカ映画は、地球温暖化により世界各地で異常気象が発生し、避難しようとする人々を描くパニック映画だ。約20年ぶりに見返すと、主人公の一人、高校生役のジェイク・ギレンホールが本当に初々しいし、主な舞台となるニューヨーク公立図書館は数年前に訪れたので、覚えているところはないかと見入ってしまう。だがやはり、地球温暖化がますます進んでいる今、この映画が描く世界は決して絵空事ではないなと思い知らされる。

公開当時、題名を聞いて真っ先に思ったのは「日本語に直訳したらパニック映画としてはちょっと間抜けに聞こえる」…。

The day after tomorrow は「明日の次の日」、つまり「明後日(あさって)」だ。邦題はだから『あさって』になるのか、それとも全く違うものになるのかと思ったら、原題のカタカナ読み、冠詞の the を省いて『デイ・アフター・トゥモロー』。芸がないといえばそれまでだが、『あさって』よりは何だか漠然としていて、不安な未来をほうふつとさせるのには効果があったのかもしれない。

それにしても、英語では回りくどい言い方になるが日本語ではすっきりと言える時間表現がいくつもある。

  • あさって:the day after tomorrow(明日の次の日)
  • おととい:the day before yesterday(きのうの前の日)
  • 再来週:the week after next week(来週の次の週)最後の week は省略して the week after next と言うことが多い。
  • 先々週:the week before last week(先週の前の週)やはり最後の week は省略することが多い。

逆のパターン、というわけではないが、英語にも時間表現に便利な単語がある。4分の1という意味の quarter クオーターだ。15分(fifteen minutes)と言うときもほとんどの場合 quarter を使う。

「10時15分前にここを出ないと。I have to leave here at (a) quarter to ten.」

「もう10時15分だよ。It’s already (a) quarter past ten.」

ちなみにアメリカ英語では、past の代わりに after を使い、例えば10時15分は a quarter after ten とも言うらしい。

「あさって」と「おととい」で思い出すのは、三谷幸喜が率いていた劇団「東京サンシャインボーイズ」の代表作のひとつ、『ラヂオの時間』。

ラジオドラマの脚本の公募があり、自分の作品が採用された主婦がそのドラマ収録に居合わせるという設定。彼女の書いたストーリーやキャラクターが現場であれよあれよという間に変わっていき、セリフもどんどん手を入れられる。セリフのひとつが「あさって来やがれ」だったため、「これは『おととい来やがれ』でしょう。あさってだと、本当に来てしまいます!」と文句を言われるくだりが印象に残っている。

この冗談はどうやってスマートに英語に訳すか。私には思いもつきません。

ダブリンでは少しずつ木の葉が染まってきました。