デュッセルドルフで日本を満喫
先週末、ダブリンから飛行機で一時間半のドイツのデュッセルドルフに行ってきた。
オランダ、ベルギーなどデュッセルドルフ周辺に長く住んでいる日本人からは、この街に行くことはまるで日本に一時帰国するかのように考えられているそうだ。多くの日系店、飲食店があり、日本語でいろいろな用が足せるからだ。
私も下調べをしてみたら、日系の本屋、美容院、日本人の店員が常駐しているメガネ屋があることがわかり、俄然行くのが楽しみになった。日本に4年数カ月帰っていないので、街の観光よりも日本関係の用事が優先。
デュッセルドルフ空港から市内までは電車一本で20分。ホテルに荷物を預けてから目指したのは、メガネ屋「エルスヴァイラー・テンメ Optik Elsweiler & Temme 」(Königsallee店)。
店に入り、英語で「すみません、日本人のスタッフはいますか」と聞くと、すぐに松本さんという店員を呼んでくれた。事情を説明して、ダブリンで去年買ったメガネのフレームの鼻盛り加工をしていただく。本来はこのメガネ屋で購入したメガネに対するサービスなのだそうだが、特別にやっていただき、本当に助かった。
松本さんは、現地の他のメガネ屋で働きながら専門のドイツ語を身につけ、今年からこの店でドイツ語、日本語を使ってお客さんに対応されている。鼻の低い日本人がヨーロッパでメガネを買おうとすると合うフレームが少なくて困るのだが、松本さんの技術のお陰で、このメガネ屋ではどんなフレームでも合わせてもらえる。デュッセル在住者がうらやましい限り!
松本さんのいるメガネ屋は、ケー・ギャラリー KÖ Galerie というショッピングモールに入っている。目の前の店は無印良品 MUJI。
近くのケーニヒスアレー Königsallee という運河沿いの通りには高級ショップやカフェが立ち並んでいる。運河沿いの遊歩道では大小さまざまな鳥といっしょに人々がくつろいでいた。
デュッセルドルフ Düsseldorf は、ケルン、ボンなどと同じくドイツ西部のノルトライン・ヴェストファーレン Nordrhein-Westfalen 州にある。いわゆるルール地帯だ。この地域は第二次世界大戦後に重工業が発展し、多くの日系企業が進出。現在はその半数が製造業、4分の1が卸売業・小売業に従事しており、2021年10月現在、州都のデュッセルドルフには396社が拠点を置いている(在デュッセルドルフ総領事館のウェブサイトより)。
デュッセルドルフで生活する日本人は7144人。ヨーロッパ大陸では、ロンドン(32371人)、パリ(10491人)に次いで邦人数が多い。ドイツ全体では42135人で、ミュンヘン(4721人)、ベルリン(3864人)がデュッセルドルフに続く。ちなみにアイルランドに住む日本人は2818人。国全体でも上記のドイツの各都市よりはるかに少ない。
(邦人数のデータはすべて外務省『海外在留邦人数調査統計』より、2021年10月現在。)
日本関係の店は中央駅 Düsseldorf Hbf から徒歩数分の大通りのひとつ、インマーマン通り Immermannstraße とその周辺に集中している。昨年 12月、インマーマン通りに日本語の標識が誕生!日本の総領事とデュッセルドルフの当該区の区長が除幕式を行ったそうだ。
約 62万人のデュッセルドルフ市の人口の 1 %強が日本人というわけで、リトル東京といわれるインマーマン通り界隈を歩いていると日本語がよく聞こえてくる。日本語で道案内もしてもらった。
ここへは日本のモノや味を求めて地元民も旅行客も集まってくる。特にラーメン屋さんの前には炎天下なのにいつも行列が。冷やし麺を食べるのかな。
メガネ屋の次は豚カツ専門の「ごん太 Gonta」でカツカレーの昼食。何せ日本食レストラン、それも「ラーメン」「寿司」「焼き鳥」などの専門店が軒を連ねているので、どこで食べるか迷ってしまう。おいしい豚カツはしばらく食べていないし、家で作るのは難しいなあということで、ここに決定。
ごん太名物カツカレー(写真奥)。サクサクの衣に中に驚くほど柔らかい肉、これぞ豚カツ。17ユーロ 50セント(約 2400円)と多少値が張っても食べる価値あり。夫はうなかつ丼(ウナギと卵)を注文、これも美味。
ダブリンでお世話になっている美容院がちょうど夏期休業中だったので、ここで日系美容院にも行った。日本、カナダ、ロンドンの美容室を経てドイツに来たという美容師さんにカットとカラーリングをしていただく。ていねいにシャンプー時にマッサージをしてくれるのが嬉しい。タブレットで日本の雑誌を閲覧したり、いろいろなお国柄の話などをしてあっという間に時間が経つ。
「ロンドンでは、大きい荷物を持っていたりするとすぐに誰かが手を差し伸べてくれたんですよね。ドイツではあまりそういうこともなくて、割と他人に冷たいというか」と美容師さん。
なるほど。アイルランドも他人に気配りができるお国柄。妊婦や年配者、子ども連れでも安心して公共交通機関を使えるのは、常に誰かが手助けをしてくれるから。ドイツはどうも違うらしい。ダブリンとデュッセルドルフに数年住んだ日本人のヨガの先生も、そういえば同じようなことを言っていた。
美容室ミラージュ Mirage はインマーマン通りから一本入った道にある。
Maruyasu というお惣菜屋さんのお弁当。日系スーパーにも惣菜や日本食が豊富にそろっていた。
旅行の最後の食事は、これまたインマーマン通りにある串焼き店「串亭 Kushi-tei of Tokyo」へ。帰りの飛行機の都合で日曜の午後5時の開店早々に入店したのだが、あっという間に満席になった。人気店らしい。お客さん、持ち帰り用の注文をする人がひっきりなしに入ってくるので少し落ち着かないが、味は「ここは日本?」と思うくらいどれも素晴らしかった。
7、8組の人たちといっしょに店の前で開店を待った。客の日本人率は約半数か。
炭火であぶったトロ(写真手前)は本当にとろける舌触り。
アイルランドでもナスはこの特大サイズ。こんな風にナス田楽を作ってみようかな。
夫は今回の旅行で、長時間は歩き慣れていない靴を履いていたためか、足の裏に大きな水腫れができてしまった。英語では水ぶくれや水腫れはブリスター blister だが、ドイツ語では何というかわからない。何とか事なきを得たが、もしもっと深刻なケガや病気をしたら日本語が通じる薬局や病院に行くこともできたため、心強かった。
日本にしばらく帰る予定がなくて日本食や書籍が恋しいときは、デュッセルドルフにまた「一時帰国」ですね。