ブダペスト旅行記① おいしい店の集まる13区で地元民気分
ハンガリーの首都、ブダペストに行ってきた。一週間滞在するので自炊もできるアパートホテルに泊まった。
ヨーロッパ旅行のときによく使う民泊サイト Airbnb(エアビーアンドビー)で予約したこのアパート、ブダペストのどの観光地に行くのもバスや路面電車ひとつ、あるいは徒歩で回れたし、近所にはおいしいものがあふれていた。焼き立てのパンなどを買ってバルコニーでゆっくり朝食を取ったあとに観光に出かけ、いったんアパートに戻って休憩し、近所でおそい昼食や夕飯を食べることが日課となった。
アパートから道を一本行くと目の前にはドナウ川が広がる(Danubeドナウはドイツ語読み、英語ではダニューブ)。このヨーロッパで2番目に長い川がブダペストの中央を流れ、川の西側が王宮のあるブダ地区、東側が商業都市ペスト(ペシュト)地区になる。私たちはペスト側にステイした。
13区と5区の境にある目抜き通りセント・イシュトバーン Szent István 通り。写真左手の奥がアパートのある13区だ。写真右手奥の地域は、国会議事堂や聖イシュトバーン大聖堂など観光名所の多い5区。
セント・イシュトバーン通りの5区側から Falk Miksa 通りが出ている。19世紀後半に活躍したジャーナリスト・政治家のフォーク・ミクサ(フォークが名字)の名を冠した通りだが、通りの入口に建っているのは名探偵コロンボと彼の愛犬ではありませんか。
コロンボを演じたピーター・フォーク Peter Falk はハンガリー系だが、フォーク・ミクサとのつながりは明らかではないらしい。この通りにはアンティーク店が集まり、通りを抜けると国会議事堂に出る。
コロンボ像のすぐ近くの建物に入ってみると、こんな中庭があった。
ハンガリーの人口は約960万人で、その約5分の1にあたる180万人弱が首都のブダペストに住んでいる。ダブリンの人口は約125万人でブダペストの3分の2ほどだが、面積はブダペストの4分の1もないので、人口密度はダブリンの方がかなり高い。
ブダペストには23の行政区があり、地区によっていろいろな特徴があるようだ。
私たちが滞在した13区の中の Újlipótváros(発音はわかりません…)という界隈は、もともと工業地区だったが、1920年代に宅地化が進む。ブダペストの建物は大部分が第一次世界大戦前に建てられたが、13区のこの辺りにある建物の多くは1930年代から40年代前半の建設であるため、建築様式がほかと違って「モダン」らしい。見る人が見たらわかるんでしょうね。
アパートのある Pozsonyi 通り。カフェやレストランのテラス席が道の両側に出ている。どのビルも一階は店で上階がアパートになっている。
私たちが泊ったのは写真中央の建物、最上階(日本でいう7階)にある小さなバルコニーつきの部屋。この付近は緑も豊か。
アパートのレトロなエレベーター。手で左右にドアを開けて中に入り、階のボタンを押すとガタンと動き出す。
アパート内部。レンタルアパートには IKEA の家具や食器でお手軽に内装を整えた物件が多いが、ここはイケアの家具と年季の入った調度品がミックス。エアコンも完備。
一週間ずっと晴天で30度まで気温が上がる日もあったがこの日は雨模様。バルコニーから見える建物のあいだに実はドナウ川がちらっと見えます。
中央市場に行ったら白アスパラガスが旬でどの青果店でも売っていたので、初めて買って調理してみた(茹でるだけ)。
この付近は、2つの世界大戦のあいだは中流階級のユダヤ人が好んで住んだと言われている。そのためか、ユダヤの伝統的なパンやケーキを売る店もいくつかあった。
近所のパン屋 Zsebi のショーウィンドウにあった、ユダヤ伝統の甘いパン、バブカケーキ。
現在開発中だというゴート(山羊)チーズ入りのクロワッサンを夫は試食。
大振りのクロワッサンも、アーモンドクリームがたっぷりでやみつきになるおいしさ。
Sommer Cukrászda というケーキ屋はユダヤとハンガリーの伝統的なケーキを売る店。素朴なケーキふたつで 1650フォリント(約 580円)。ハンガリーの通貨単位はフォリント(Hungarian forint)で、値札では HUF や Ft と表示される。
現在この界隈にはアーティストやジャーナリストが多く住み、こじゃれた雰囲気だ。道路の左右にある歩行者用の通路では、犬を連れた人や家族連れとしょっちゅうぶつかりそうになる。ブダペストの主な観光地から徒歩圏内なので観光客も見るが、地元民が主流だ。それでも店やレストランのほとんどのスタッフは英語を片言でも話すので、不自由はない。
次にブダペストに来ることがあったらまたこの地域に滞在したいな、と思った。今度はドナウ川を見下ろせるバルコニーのあるアパートで、夜景をつまみにワインが飲みたい。
「テレサのハンガリーの台所」という意味の Tera Magyar Konyhája は、その名のとおりハンガリーのお袋の味が堪能できるレストラン。夜は営業していないが朝は8時から開店している。客層は家族連れ、学生、労働者など。
メニューは毎日変わり、セルフサービスでカウンターに並んで注文する。
メイン料理(付け合わせのポテトやライスも含め)は 1800フォリント(約 635円)前後。私が食べたチキンサラダは約 300円で、ポテトとセロリが美味。
近所のもう一軒のおすすめレストランは Firkász。実はハンガリー名物のフォアグラなどがお手頃価格で食べられる。
私たちが食べた昼のセットメニューはスープとメイン料理で 2050フォリント(約 720円)。感じのよいウェイターが英語でメニューを説明してくれた。いんげん豆のスープはサワークリームと香辛料のパプリカが効いていて、これぞハンガリー味。
夫のメインは鶏むね肉とクリーミーなマッシュポテト。私はマッシュしたカボチャをひき肉で包んで揚げたものに、ディルがたくさん入ったホワイトソース。おいしかったー。
次回は、ブダペストから日帰りで行ったアートの町センテンドレ Szentendre の話。