先週末の4月10日(日)、ダブリンのフェニックス公園で行われたお花見イベント、Hanami Festival に行ってきた。

そもそもこのイベントのコンセプトは、15年ほど前にフェニックス公園の近くに住む日本人女性が考えついたものだと聞いている。ここ10年ほどは、Experience Japan という日本関連の催しの一環として組織的に運営され、規模が大きくなった。

「ジャパン・デー Japan Day」としても知られるこのイベントは、桜の季節である4月のどこかの日曜日に、毎年一日だけ開催される。音楽あり、食べ物あり、子ども向けのゲームもありで、誰でも参加可、そして入場無料だ。ほとんど野外の催しなので、天候頼みと言ってもよい。私はいつも仕事が入っていたり、悪天候で行く気がしなかったりして、今年になるまで参加したことがなかった。夫も今回が初めて。

何しろ東京ドームの約150個分という広大な敷地を誇るフェニックス公園にはいくつも入口がある。お花見祭り Hanami Festival は、私たちが年末に訪れたファームリー・ハウス Farmleigh(アイルランドの迎賓館)の敷地内で行われるので、キャッスルノック・ゲート Castleknock Gate から入って歩くのが一番近い。公園の入口まではダブリンの街中からバスに乗ること30分ほどだ。

公園の入口キャッスルノック・ゲートからファームリー・ハウスの敷地の入口までは徒歩10分ほど。この日はアイルランドの国旗と並んで日本の国旗も掲げられていた。車で来る人も多いので警備の人が何人も交通整備をしていた。

桜の木はフェニックス公園にはかなりあるのだが、今年は3月に暖かい日が続いたときにすでに満開になり、見ごろはかなり過ぎてしまっていた。まあ、イベントの名前こそ「花見」と銘打っているが、そもそもアイルランドに花見の習慣はないし、hanami の意味を知らない人の方が多いだろうから、桜の開花状況は重要ではない。

ファームリー・ハウスの横に特設されたステージでは、日本の太鼓や尺八の演奏、日本舞踊、アイルランド音楽などが分刻みで披露されていた。太鼓は迫力満点。

Martial Arts の野外ステージでは、合気道の実演がちょうど行われていた。何回も投げられて痛そう!

日本大使館やアイルランド日本語教師会などもブースを出して、日本に観光や勉強、仕事で訪れたい人への案内をしていた。

Crafts コーナーの盆栽。

最近弓道にのめり込んでいるとは聞いていたアイルランド人の知り合いが、所属する弓道クラブを代表して、集まった人たちに弓道の面白さを伝えていた。「外のステージで実演してみせたの」と聞くと、「いやー、始めてまだ3年だし、新型コロナで稽古がずっとできなかったから、人に見せられる域には達してないよ」。

実は前日に、しばらく会っていなかった友だちから連絡があり、この花見イベントで待ち合わせすることになった。ダブリンで知り合ってもう20年になる友人だが、バルセロナ出身の彼女は最近は家族でそこに戻って暮らしている。ダブリンへは4月の復活祭の休暇で2週間だけ来ているのだという。

2年会っていなかった彼女の子どもたちとも再会。英語、カタルーニャ語を自由に操れるのがうらやましい。日本語も教えてあげよう(?)と、名前を日本語(漢字)で書いてもらえるブースに誘った。8歳になるレベッカは「礼辺華」、4歳の男の子ローナンは「朗男」と筆で書いてもらい、嬉しそうだった。

ちょうどレベッカ「礼辺華」と書いてもらっているところ。「『ベ』はどうしようかな、渡辺さんの『辺』にしようか」。漢字にするのが難しい名前もあるんでしょうね。

フードコーナーには10店舗ほどの店が出ていたが、どこも長蛇の列。ゴールウェイでおいしいと評判の Wa Sushi(Wa Cafe)のカレーを食べたかったが、1時間並ぶと聞いて断念。

フードコーナーで見かけた、コスプレをしている女の子たち。

子どもやティーンに人気だったマンガコーナー。アーティストの女性が、リクエストに応えてアニメや漫画のキャラクターをその場で描いていく。私にはわかるキャラ、わからないキャラが半々。帰りにまた通りかかったら、オバケのQ太朗の周りに何人かのキャラが描き込まれていた。

私にとっては初めての Hanami Festival だったが、思ったとおり盛りだくさんの内容だった。ここに来たら会えるかもと思っていた人たちとも何人か会うことができた。武道や伝統的な文化と並んで、やはり日本のサブカルチャーが子どもや若者たちを虜にしていることも実感できたし、特に日本に興味はなくても、たまたま来てみて、親子で思い思いに過ごしているような人がいたのもよかった。また来年も都合が合えばぜひ行きたい。

全会場を周った頃には午後4時半になっていた。そろそろイベントもお開きに。来たときと同じように私たちはまたバスでダブリンの街中に戻った(バスも満員)。この日の締めくくりは、やはり日本食しかないと、リフィー川沿いにある日本食レストラン YAMAMORI へ。

YAMAMORI はダブリンの街中に3店舗ある。この日訪れたのは一番大きな Yamamori North City。

店内に入ると仏像が迎えてくれる。

トンカツ、餃子、お寿司のセットは23ユーロ(約3100円)。平日のランチタイムだともっと安いはず。このセットのボリュームはすごいので、私たちは他にサーモンの刺身を頼んだだけで十分。Hanami Festival でありつけなかった日本食を食べられて満足でした!