ダブリンで旧正月 Chinese New Year を祝う
今年は2月1日が太陰暦(旧暦)の旧正月にあたるそうで、先週、今週は春節 Spring Festival を祝うイベントがたくさんあった。
ダブリンの老舗アジア系スーパー Asia Market のある通りは赤いランタンで飾られ、店内もお祝いムードたっぷり。
アイルランドのテイクアウトのお店といえば、たいていチャイニーズ、インドカレー、そしてフィッシュ&チップスと決まっている。数限りなくある中華系レストランや食料店の多くは、もともと香港系の移民が作ったそうだ。その後、1990年代後半に中国本土から英語を学びにアイルランドに来る学生が激増した。私が2002年に通ったダブリンの英語の語学学校にも中国人がたくさんいて、英語メニューが充実していないチャイニーズレストランでいっしょに餃子を食べたりしたものだ。
スーパーの前では餃子の試食も行われていた。私は海老餃子と鴨肉の餃子を食べてみた。アツアツで好吃(ハオチ―)。
語学学校で出会ったようなハングリー精神に満ちた若い中国人の何割かがこちらで仕事を見つけたり結婚したりして、アイルランドに永住。今やその子どもたちがアイルランド人として育っている。一番最近(2016年)の国勢調査 Census では、アイルランドに住む約2万人が中国本土で生まれた中国人かその子孫だった。これは人口の0.4%にあたる。これに加えてもちろん中国本土以外からの中国系移民もいる。
ダブリンでの春節の獅子舞の様子を取り上げたテレビニュースでは、祭りに訪れた中国系の子どもたちが Happy New Year を中国語で言ってみせたり、どんなふうに旧正月を過ごすのかを話したりしていた。
住む人の多様性 diversity を祝うべく、アイルランドではいろいろな国の文化を紹介するイベントが行われるが、この旧正月 Chinese New Year(Lunar New Year)も毎年ダブリン市議会が中心となって盛り上げている。オンラインも含めた今年のラインナップを見ると、料理のデモンストレーションや、ダブリンの人気観光地の中国語でのガイドツアー、といった定番のイベントに加え、韓国映画の上映や、こちらでも大人気の K-Pop ダンスを踊ってみよう、なんていうのもある。
普段は考えたこともなかったが、中国や香港、台湾だけではなく、韓国やベトナム、マレーシアなどのアジア諸国でも旧正月を祝う伝統があるんですね。日本では明治維新後の1872年(明治5年)11月9日に太陰暦(天保暦)が廃止されたそうだ。西暦に変わり、新暦の1月1日を正月、太陰暦の正月を「旧正月」と呼ぶようになった。
年の終わりも近い11月に暦が変わり、お正月が何週間も早くなってしまって、混乱は起きなかったのだろうか。それとも、元号が変わるのと同じように受け止めてさっさと切り替え、以来、旧正月は海外のお祝いのようにとらえてきたのかもしれない。
アジアから来た私が、アジアの文化をダブリンで外国の文化のように体験できるのは面白い。
Asia Market のすぐ近くのダック DUCK という焼鴨の専門店でランチ。今回は食べやすさを重んじて骨なしの焼鴨とライスを注文したが(骨なしは1ユーロ増で8ユーロ95セント)、やはり骨付きの方がおいしい。
DUCK はサウスジョージストリート・アーケードビル South Georges Street Arcade Building の一角にある。19世紀のビクトリアン様式のこの建物は以前は倉庫として使われ、その後ソーセージ工場を経て現在の屋内市場になった。