2週間ほど前に同僚から「これ今すごいハマってるの」と教えてもらった英単語当てゲーム『ワードル Wordle』。やり始めたら確かに面白く、今や私の日課になってしまった。

『Wordle』はパソコンやスマートフォンなどでできるオンラインの英単語当てゲームだ。ルールは簡単。お題となっているアルファベット5文字の英単語を当てる、それだけである。

このゲームを開発したのはアメリカに住むソフトウェアエンジニアのジョッシュ・ワードル Josh Wardle さんで、そもそも単語ゲーム好きのガールフレンドのために作ったそうだ。

2人でしばらく遊んでから家族にゲームのことを知らせると、家族や親戚が夢中になった。「これはもしかしたらヒットするかも」と考え、昨年の2021年10月にオンラインで無料公開。ゲームの名前は自分の名字をもじって『Wordle』にした(日本語のカタカナだと Wardle も Wordle も両方「ワードル」になるが英語だと一字違い)。

出題頻度は一日一回で、誰がやっても同じお題であることから、ツイッターなどでその日の結果を投稿する人が増え、じわじわと世間に広がっていった。約2ヵ月後には全世界で30万人以上がプレイするまでになった。そして今年1月末、米ニューヨークタイムズ紙がゲームを買収したと発表。買収価格は low seven figures(7ケタ台前半)、つまり少なくても100万ドル(約1億1500万円)だ。この買収ニュースを聞いて「何そのゲーム」と始めた人も多いかもしれない。

親と同居している私の同僚は、毎日通勤バスの中で『Wordle』を行い、家に帰ってお父さんと「今日は当たらなかった!」「わかる、今日のは難しかったよね。お父さんにも無理だったよ」などと2人でひとしきり話題にするのだという。こういう光景がアイルランド各地で、いや世界中で繰り広げられているに違いない。

ニューヨークタイムズのウェブサイトに行くと、5マスの四角が6段並んでいて、その下にアルファベットのキーボードが現れる。まず一行目に「今日のお題の単語かもしれない」と自分が推測する5文字の英単語を入力してみる。

例えば、私は今日は最初の行に「CHOIR(クワイア)」と入力してみた。すると「H」と「O」が黄色、「R」が緑色で表示された。

  • 黄色は「アルファベットは正解だが、この位置には来ない」という意味
  • 緑は「アルファベットも位置も正解」
  • グレーは「お題の単語には含まれないアルファベット」

(ツイッターではアルファベット抜きの色のついたマスの状態でシェアできる)

最初に入力する単語でどれだけアルファベットを当てられるかが肝心。5つしかないので同じアルファベットの重複は避け、使用頻度の高そうな母音や子音を入力するのがポイント。今日は最初のゲス guess でもう3文字も当てられたので、幸先いい!

「R」が最後の文字だということはわかったが、他にどんなアルファベットがお題の単語に入っているのかを探るべく、今度は「ENTRY(エントリー)」と入力。すると「E」と「T」も黄色で表示され、お題の単語を構成するアルファベットの一文字であることがわかった。

英単語として成立するアルファベット5文字しか入力できない。正解の単語には同じアルファベットが2回使われている場合もあるので要注意。

3段目。Rが最後に来ることはわかっているし、ほかのアルファベットは「E」「T」「O」、そして「H」。メモ用紙にそういった単語があるかどうか書き出してみたときに、「あ、OTHER(アザー)かも」と気づいて入力してみた。するとそれが大正解で、緑色の5文字が現れた。3回目で当てられたことはめったにないのでほくほく。

夫に「今日の『Wordle』は3回目でできちゃったよ」と得意顔で報告すると、彼も負けじとやってみたが、最後の6段目で正解。今日は私の勝ち。でも彼の2行目に入れた単語を見ると、「JOUST」という聞いたことのないもの。「中世の騎士の馬上の槍試合」という意味だそう。さすがネイティブ。なるべく多くの母音を入力するためにこの単語を使ったとのこと。

これまで、「TACIT(暗黙の、無言の)」や「SWILL(洗い落とす、がぶ飲み)」など、お題となった英単語の意味を知らなかったことがある。「SWILL」の回は、5段目までに2文字目の「W」以外はどこに何のアルファベットが入るか当てられて、最後のチャンスに「STILL(静止した)」か、はたまた「SPILL(こぼす)」かと悩み、えいっと「STILL」と入力したら不正解だった。6回試しても外れると、正解が黒字で出てくるのである。

お題は一日一題で、何時間も中毒になるようなゲームではなく、ちょっとした頭の体操として空いている時間に気軽にできるのがいい。今は無料だが、何せタイムズ紙は大枚をはたいてこのゲームを買ったのだから、いずれ購読料を払わないとゲームができなくなるかもしれない。

この一週間のうちに3つもの嵐(Storm Dudley、Storm Eunice、そして Storm Franklin)に見舞われたアイルランド。ダブリンは被害は少なかったが、他の地域では何万戸もの家庭や会社が停電になったり、道が閉鎖されたりと、被害の様子が連日報告されている。ロシアのウクライナ侵攻を阻止する外交駆け引きも大詰めだ。こんな不安な要素の多い毎日の中で、少しでも気を紛らわせることのできる日課があるのはいいことだ。