日本での忘年会のように、「クリスマスまでに一度会おう」を合言葉に、11月下旬くらいから各方面の友達と会って一杯飲んだりランチをしたりするのが常だ。一年の交流関係の総決算のようなものだ。

今年は多くの友達に会えるかなと期待していたが、オミクロン変異株が台頭してきているため、まだまだ無駄な外出は控えたい。そこで去年に引き続き、友人と会うのは週に一回までと私なりに決めた。自然と会える人の数も限られる。会えない友人とはメールや SNS や電話で簡単に近況報告をし、「よいクリスマスを!」と結ぶ。

仕事を通じて何年か前に知り合った友人と、久しぶりに電話で話をした。彼女はダブリンに住んでいないのでそもそも会う機会は少ないが、会うと明るい人柄に引き込まれてこちらまで元気になる。彼女は数年前に乳がんを克服してからより人生に真摯に前向きに向き合うようになり、珍しいスポーツにチャレンジしたり積極的にデートをしたりしている。

私が「How are you keeping? 元気にしてる?」と聞くと、「We are fine」という返事が返ってきた。あれ、I am fine ではなく we?

最後に会った2年前は、彼女がちょうど新しい彼と付き合い始めて数ヶ月の頃だった。その彼と順調に続いて今は公認のパートナーになっているのかもしれない。電話であまり込み入ったことは聞きたくないので、詳しく聞くのはいつか会ったときにする。今はとりあえず元気でいることがわかったので、「Have a lovely Christmas!」とお互い言って電話を置いた。

今年は各地でクリスマスマーケットが開催されている。ダブリン城のクリスマスマーケットは12月8日から21日まで。入場無料だがチケット制で日時を事前に予約しなければならない。

野外テントの中で聖歌隊がマスクをしながらクリスマスソングの数々を披露。「2年ぶりのコンサートです」と言っていた。

どこの職場でも同じだと思うが、私の職場でも「(Do you have) any plans for the weekend? 週末の予定は?」「How was your weekend? 週末どうだった?」と気軽に聞き合うのが習慣になっている。家族やパートナーといっしょに何かをしたのであれば、「We went to see my parents. 親に会いに行った」だの「We just stayed in. どこにも出かけず家で過ごしたよ」と代名詞の we(私たち)を使って答えるのが普通だ。友達と何かをしたのであれば、「I went out with some friends. 友達と遊びに行った」と代名詞は I(私)になり、その後話が続くと「We tried that new restaurant. あの新しいレストランに行ってみたんだよね」のように we(私と友達)になる。

日本語では代名詞は省略することが多いのであまり意識しないことだったが、英語で会話をすると、その人が独り身かそうでないかがすぐにわかってしまうのだ。もっとも、まだステディな関係になっていなかったり、誰かと付き合っていることを隠しておきたいときなどは、何でも自分一人でやったかのように「I(私)」で通すのかもしれない。

私も夫と付き合うようになってからは、we を使うことが圧倒的に多くなった。世の中に「私にはこうやって、誰に何も隠すことなく付き合っていると言える人がいるんだからね」と公言しているようで、くすぐったいような新鮮な感覚を最初は覚えた。もちろん夫とは違う趣味もあるし、交流関係もかぶっていないので、別々にしていることもたくさんある。私の世界もあり、そして私と夫との共有の世界もある、この I と we のバランスが保たれていると私の人生も充実するようだ。

きのうは今年最後のピアノのレッスンだった。これはいつものレッスン室。

5年ほど通っている音楽学校 Waltons New School of Music、通称ウォールトンズは、建物は古いがスタッフは親身だし優秀な教師陣を揃えている。クリスマスツリーもデコレーションは音符やト音記号など音楽関係でほっこり。