つい先日までレストランやパブでの飲食ができなかったので、夫も私も夕食を作るのが面倒なときは、たまにテイクアウトの夕食を取っていた。

タイ料理のカミール Camile は、テイクアウトのお店にしては箱も独自のパッケージでおしゃれ。しかもカレーもサラダもおいしく(パッケージよりもちろん重要)、気に入って何回か注文した。

健康志向のタイ料理テイクアウト店カミール Camile Thai Kitchen は2010年にオープン。サンドイッチのチェーン店オブライエンズ O’Briens Sandwich Cafe を1998年に創業したアイルランド人のビジネスマン、ブローディ・スウィーニー Brody Sweeney が手がけているチェーン店だ。彼はもともと印刷会社を経営しており、今はダブリン街中にある博物館リトル・ミュージアム・オブ・ダブリン The Little Museum of Dublin の理事長でもある。いろいろなことやってますね。

タイ料理には独特の香りのするハーブ、パクチーがたくさん使われる。パクチーは、私が窓際でよく育てているハーブの一つだ。

ロックダウン中に始めたハーブ栽培(ヨーグルトの容器を使ってます)。パセリ、ローズマリー、タイム、バジル、そしてパクチーはどれも収穫までこぎつけた。ローズマリーは庭に植え替えたが、一年以上経ってもまだ元気に育っている。

パクチーは、アイルランドやイギリスではコリアンダー coriander と言う。「パクチー」はタイ語が由来らしい。日本語でパクチーということは日本語の料理雑誌を見て知った。「香菜(しゃんさい・しゃんつぁい)」の言うのかと思っていた。種の部分を香辛料として使用する場合は日本語でも「コリアンダー」と言うそうだ。

アメリカ英語ではやはり種の部分はコリアンダーと言うが、葉や茎を生で食べる場合はスィラーントロ cilantro になる。これはスペイン語と同じ。このハーブはメキシコ料理でよく使われるので、南米から北米に伝わったのかもしれない。

家の中でハーブ以外に育ててみて面白かったのはビーツ。私が日本に住んでいた20年前までには見かけたことのなかった、カブに形が似ている赤紫色の根野菜だが、最近日本でもよく食べるようになったと聞く。こちらでは beetroot ビートルート、アメリカ英語では beets ビーツだから、日本語の名称はアメリカ英語から。

ビーツは、生のものはオーブンで蒸し焼きして食べることが多いが、調理に時間がかかるし、洗ったり皮をむいたりすると手や服に赤い色素が付くので気をつけなければならない。そのせいか、こちらでは生のビーツよりも調理済みのものがバキュームパックに入って売っているのをよく見かける(日本でも?)。

先日、有機農産物の生のビーツが近所のスーパーで売っていたので買ってみた。テレビで紹介されていた方法を真似して、1センチほど頭を残して切り、水栽培をしてみた。みるみるうちに葉が伸びてきて、3~4週間後に生でサラダにして食べることができたので大満足。大根でも同じことができるらしい。

葉が頭からみるみる伸びてくる。

ビーツの葉と茎を、生のままトマトとフェタチーズといっしょにサラダにした。ドレッシングは甘めのバルサミコ酢と塩コショウ。ソテーしたマッシュルームと夫の焼いたソーダブレッドといっしょに。

日本語の野菜の名称はとても国際的。「ズッキーニ」はアメリカ英語で、イタリア語の zucchina(ズッキーナ)から来ている。アイルランドでは「コジェット courgette」と言い、フランス語と同じになる。

「ピーマン」はフランス語の piment ピマン(フランス語で唐辛子)から来ているようだ。アイルランドでピーマンと言っても誰もわかってくれないし、そもそもあのサイズのピーマンは売っていない。ピーマンより大ぶりで肉厚のパプリカはあるが、英語で「パプリカ paprika」はよくハンガリー料理で使われる香辛料を指し、野菜のことはパプリカではなく「ペッパー pepper」と言う。コショウと同じ!

しかしオーストラリアの料理番組を見ていたら、野菜のパプリカのことをカプシカム capsicum と言っていた。もう訳がわからない。