Clocks went forward. とうとう今年もまたサマータイム(夏時間)が始まった。今朝早く、3月の最終日曜日の午前1時に時間が1時間進んだのだ。昨日まで朝7時に起きていた人が、そのつもりで普段の睡眠時間どおりに今朝も起きてみると、もう8時になっていたということになる。

私が朝一番にしたことはもちろん、時計の針を進めること。パソコンやスマートフォンやテレビは自動的に時間が調整されるが、電池で動くアナログの時計(我が家には2つある)は自分でしなければならない。寝る前にやっておけばいいのだが毎回忘れてしまう。

朝起きてサマータイムに変わったことに気づかないまま悠々と朝ごはんを食べ、ちょっとニュースでもと思ってテレビを見たら「え、もうこんな時間?」と慌ててしまった、という経験はこちらでは誰でもある。日曜なのでのんびりしていて一日中気づかず、翌日の月曜の朝に寝過ごして、仕事に遅れる人だっている。

私は日曜に仕事に出ることも多いので、いつものバスを逃して少し遅刻したことがある。でも日本よりずっと時間にルーズ、いや、人に寛容なアイルランド社会では、「夏時間に変わったことに気づかなくて…」というのは遅刻の言い訳として立派に通じる(ことが多い)。

7カ月後の10月最後の日曜日には、これと反対のことが起こる。時間を1時間戻してまた標準時間に移行するのだ。Clocks go back. これは朝7時のつもりで起きると実はまだ6時だった、ということになるので、「朝寝坊できるよね」とみんな何か得をした気持ちになる。うっかり気づかずにいて仕事に早く着いてしまい、「家でもっとゆっくりできたのに!」と悔しがる人も毎年いる。

こんな感じで、毎年混乱をきたす時間の移行。サマータイムは日照時間の長さを活かしてスポーツや趣味を楽しめるというメリットがあるはずだが、コロナでずっと野外活動も禁止されているし、レストランも劇場も閉まったまま。夏でも涼しくエアコンがほとんど必要のないアイルランドでは、省エネにもあまりつながらない。

欧州連合(EU)では、サマータイム制度の存続について数年前から論議が醸されていて、廃止することが昨年欧州議会で可決された。2021年の今年からなくなるはずだったのだが、どの国もコロナ危機への対応が優先だし、法令化への手続きもまだなので、今年が最後のサマータイムになるかどうかはわからない。

日本では逆に、サマータイム制度の導入が過去何回か検討されたが、今はどうなっているのだろう。サマータイムはあさってからですよ、とリマインドするこちらのニュースサイトでは、「中国、日本、インドのような国々ではサマータイムは実施していない。Countries such as China, Japan, and India, do not follow DST (Daylight Saving Time) .」とあった。東京オリンピックがあるから日本も例に挙げたのだろう。

アイルランドでオリンピック関連のニュースが報じられることは少ない。コロナ関連、特にワクチン接種のスケジュールやワクチン輸入の遅れが連日大きく取り上げられている。それでも、数日前の3月25日には、東京オリンピックの聖火リレーがスタートしたことがトップニュースの一つになった。ライブ配信をしている日本のニュースサイトで今日はどこを走っているのか見てみたら、私が子ども時代を過ごした栃木県足利市などを走る様子がちょうど見られた。

日本との時差はサマータイム時には1時間減って8時間。日本時間の午後早くに競技をしてくれたら、こちらでは夜、家で落ち着いた時間帯に見られるのだが、そもそもアイルランドのテレビ局でオリンピックの生放送をすることはまずない。アイルランド選手の活躍が期待されるボート競技やセーリング、馬術やボクシングなどに注目したハイライトを流すくらいだ。

前回のリオ五輪にアイルランドから参加した選手は80人。ヨーロッパの中では少ない方だ。私はあまりにもオリンピック色が薄いのでもっと少ないかと思っていた。ちなみにイギリスは372人、日本は336人、アメリカは552人。

東京五輪には、3月25日時点で54人の選手がアイルランドから参加することが確定している。まだ五輪選考レースが終わっていない競技もあるので、最終的にはもっと増えるはずだ。

この夏もイギリスのBBCなどのチャンネルでオリンピックを見ることになりそうだけれど、そうするとイギリス人の選手の活躍がメインになる。もちろん日本人の選手はほとんど映らない。ライブ配信をしてくれる日本のウェブサイトや YouTube にしばらくかぶりつくことになるのかな。

朝自然に目が覚めたのが6時15分。でも時間を1時間進めて7時15分に。